記事本文
はじめに : 予習と本文で今回の記事は構成されます
これからとある weblog 内の一記事の内容に対する指摘記事を書くのですが、指摘する部分はいくつかのその方なりの持論を理解しておくことが前提として必要だろうと思いましたので、最初に予習的な形でまとめておこうと思います。 私もその方の記事をふだん読んでいるわけではなく、指摘しようと思った際に初めて関連記事に目を通したので、ここで一旦まとめておかないとまた読み返す必要が出てきそうですので……。
なお、指摘を行う weblog は週刊!木村剛 powered by ココログであるので、トラックバックに関する定義はトラックバックの技術仕様を根拠とします。
( ココログ は
Powered by TypePad
の weblog サービスであり、 TypePad も Movable Type も Six Apart 社の製品であるため、技術仕様は共通であると考えて良いでしょう。 )
予習 No.1 : トラックバックの文章に関する「週刊!木村剛」の基本的考え方
さて、指摘を行う weblog の <div id="right"> 部分付近から辿れる週刊!木村剛 powered by ココログ - トラックバックの文章に関する「週刊!木村剛」の基本的考え方にて、指摘対象となる木村剛氏は自身の見解を示されています。
「週刊!木村剛」にトラックバックした文章(=TB文)は、「週刊!木村剛」において言及されたり、「月刊!木村剛」に掲載される場合があります。
これはトラックバックの理念に適っているもので、特に問題はありません。
もしトラックバックを送った人が「トラックバックした文章に対して言及するな」と主張するならば、それはトラックバックの
何か面白いことや関連することやショックなことを書いたと通知したい
という目的に反することになるので、トラックバックを送られた方は「じゃあ最初からトラックバックなんてするな」と一蹴してしまえばいいだけですので。
予習 No.2 : リンクと転載と引用を混同
次に、週刊!木村剛 powered by ココログ - 「月刊!木村剛」が進み始めましたにて、木村剛氏はリンクと引用と転載に対する自身の見解を示されています。
6. ただし、「転載」については、原則的に著者による承認と対価が必要です。 転載というのは、基本的に著者が何ら付加価値を付与することなく、他の著者の文章全体を「引用」することを指しますが、特に他の著者の文章を「転載」するだけで、濡れ手で粟の利益を得ようとする行為は、明らかな著作権の侵害になります。
この文章の時点でずれているような気がしますが、転載行為が引用行為の一部分として存在しているような言い回しです。 引用も転載も他人の文章を自分の文章内に記述することに変わりはありませんが、互いに全く違う性質のものでしょう。
7. ここで悩ましいのは、ネット上における「リンク」と「転載」の違いです。 おそらく「リンク」というのは、出版物で言えば、「○○参照のこと」という参照文献の明示ということにあたるのでしょうが、ネットの場合ワンクリックでそこに飛んでいくことができてしまいます。 つまり、現実的には「転載」していることと同じ行為(「転載」≒「リンク」)なんです。 しかも、無料で誰にでも開放されているのですから、ある意味で「ネット上における無料による無断転載」を認めているということでもあるのです。 しかし、ネット上において「リンク」を認めないなどというルールを導入すれば、ネットの魅力は半減してしまうでしょうし、「リンク」を拒むのであれば、「閲覧を限定したクローズドのサイトにすべき」ということにもなるでしょう。
ここで木村剛氏には大きな誤解があり、以降の理論にも影響を与えてしまっています。 これは後で本文で指摘します。
8. つまり、「リンク」を否定すれば、ネット上の有効なコミュニケーションが閉ざされるという意味で、「リンク」は「引用」に近い性質を持っているのです(「リンク」≒「引用」)。 そこで、「リンク」に関して申し上げれば、「引用」について述べたのと同様、ネット上に文章を公にする著者は「リンク」されることを拒んではならないというのが、私の基本スタンスになります。 「リンク」を拒めば、コミュニケーションは成立しなくなり、さらに言えば、批判する表現手法も限定されるので、「言論の自由(批判の自由を含む)」を侵害しかねないからです(もっとも、「リンク」の場合は、必然的にその原典を明示することになります。これは良いことですね)。 もしも、「リンク」を拒みたいのであれば、文章をネット上に公開すべきではないということになるでしょう。
リンクされることを拒むのであれば WWW 上に公開すべきではないというのは正しい主張ですが、そこで引用と近似としている点が間違っています。 リンクと引用は全く違うものです。 これも後で本文で指摘します。
9. さて、そこで悩ましくなってくるのが、「リンク」と「転載」の扱い方です。 先ほど申し述べたとおり、「転載」≒「リンク」ですから、上記の論理が援用できるならば、ネット上に文章を公にする著者は「転載」されることを拒んではならないという理屈になってきます。 無論、その場合は、原典を明示し、しかも原典に「リンク」を張るということが大前提になるとは思いますが、どこまで「転載」の自由を認めるべきかという新しい問題が惹起されてくるのです。 つまり、「転載」≒「リンク」≒「引用」なんですが、「転載」≠「引用」だという連立方程式を解かなければならないのです。
最初の前提が間違っている (
「転載」≒「リンク」
) ために、転載と引用という全く別のものである行為を
解かなければならない
と難しく考えてしまっています。
10. そして、文章表現上、「リンク」という形態よりも、「転載」に近い「全文引用」の方が、読者にとって読みやすく理解されやすいケースが少なからずありますし、クリックしないで紹介文とともにとおしで一目で読める方が読者にとって親切であるという場合があります。 例えば、「週刊!木村剛」の例で申し上げれば、ゴーログ「『かめはめ波』とは何か?」における「ひとこと」さんのケースがそれに当たりますし、今月からスタートする「BLOG of the Week」もそういうコンセプトでとりあえず運営してみたいと思っています。 つまり私は、条件付きながら、ネット上においては、「転載」≒「リンク」≒「引用」という考え方でしばらく走ってみたいと考えているのです。
理解されやすいケースが少なからずあります
や、
読者にとって親切であるという場合があります
といった、特定のパターンを根拠にして、それ以外のパターンの可能性を考慮せず
「転載」に近い「全文引用」
を行う方針なのでしょうか。
必要な分の記事しか読んでいないため、もしかしたらケースバイケースで考慮しているのかもしれません。
ただし、もしそういった考慮を行わず、意図的に
「転載」に近い「全文引用」
を繰り返していたのならば、それは
他の著者の文章を「転載」するだけで、濡れ手で粟の利益を得ようとする行為
に他ならないのではありませんか ?
これも本文で改めて指摘します。
予習 No.3 : ネット界の掟から目を背けている ?
これは言い訳以前のレベルだろうと思うのですが、
ネット界の重鎮とシロウト新人との感覚の違いかもしれませんが、私のようなシロウトにも理解できるように、「ネット社会において築かれた諸々の実績」とは何かを明確にお示しいただき、できれば、ブログサービスの提供者に周知徹底することを通じて、ブログコミュニティ内のルールとして制度化していただけるとありがたく存じます。
そうしませんと、ブログを通じてネット界にデビューしている、私のようなシロウトたちが知らぬ間に「書かれざるネット界の掟」に触れて、重鎮の方々の逆鱗に触れてしまうかもしれないからです。 是非、何卒よろしくお願い申し上げます。
「初心者ですからルールなんてそもそも知りません。」 と言いながら耳を塞いで、 「初心者は私だけじゃないんだ ! 貴方たちが初心者に譲歩してルールを教えておかないのが悪いんだ ! 」 と言っているようにしか見えません。
何故これを言い訳以前と揶揄するのか、それは
書かれざるネット界の掟
などと大仰に書いて、調べることを放棄しているからです。
そもそも、改めて制度化などせずとも、しかもブログコミュニティ ( そもそもこれはどの範囲を指しているのでしょう ? ) 内のルールなどと限定せずとも、 WWW のルールとして既に存在し、また明文化されています。
調べもせずに「暗黙の了解なんて知らない、調べようがない」的な発言をされても、それに対して優しく教えてあげようという人は多くないと思います。
そもそも
重鎮の方々
とは誰なんでしょう ?
木村剛氏が重鎮と思っている方が少なくとも 2 人以上いなければ「方々」とは言えないと思いますが、具体的な名前を出されていないために分かりません。
誰と比較してご自分を
シロウト新人
と評されているのでしょうか。
本文 No.1 : リンクとは
木村剛氏は
おそらく「リンク」というのは、出版物で言えば、「○○参照のこと」という参照文献の明示ということにあたるのでしょう
と、憶測のみで語っていますが、明確な定義が Hypertext Terms に書かれてあります。
- Link
- A relationship between two anchors , stored in the same or different database . See "Internal" and "External" .
「 2 つのアンカー間の関係」というシンプルな定義こそがリンクの定義です。 変に出版物と絡めて考えるから間違えて理解するのであって、定義そのものだけを見ればそんな間違いを犯さずに済むはずです。 Links in HTML documents にも、
HTML offers many of the conventional publishing idioms for rich text and structured documents, but what separates it from most other markup languages is its features for hypertext and interactive documents. This section introduces the link (or hyperlink, or Web link), the basic hypertext construct. A link is a connection from one Web resource to another. Although a simple concept, the link has been one of the primary forces driving the success of the Web.
A link has two ends -- called anchors -- and a direction. The link starts at the "source" anchor and points to the "destination" anchor, which may be any Web resource (e.g., an image, a video clip, a sound bite, a program, an HTML document, an element within an HTML document, etc.).
と書かれてあります。 木村剛氏も、リンクを拒否することについては否定的なので特に指摘することはありませんが、以降の部分の内容において基本となる定義ですので、ここに記しておきます。
本文 No.2 : 転載とは
これは言葉の意味をそのまま解釈すれば良いでしょう。 そのまま「転じて載せること」、英語では reprinting や reproduction という単語がこれに当たります。
木村剛氏は
転載というのは、基本的に著者が何ら付加価値を付与することなく、他の著者の文章全体を「引用」することを指します
と言っていますが、単に「他の著者の文章を写して書くこと」として良いと思います。
木村剛氏の理論だと、他の著者の一部分のみを転載する「部分転載」というものが考慮されていません。
ここでリンクと転載との違いに話が移りますが、転載については 2 つのアンカーの関係がありません。 場合によっては転載部分の付近に原文へのリンクが添えられているかもしれませんが、それはあくまで原文へのリンクがそこに存在しているだけで、転載部分は原文に至るアンカーを持っていないことに変わりありません。 繰り返しますが、リンクと転載は全く異なります。
本文 No.3 : 引用とは
これも言葉の意味をそのまま解釈すれば良いでしょう。 そのまま「引いて用いること」、英語では quotation や citation という単語がこれに当たります。
この言葉の意味だけを考えると、転載とどう違うのか、全文を引いて用いることだってあるんじゃないのかという反論が予想されます。 しかし、引用については、著作権法 第三十二条にてその定義が定められているという特徴があります。
公表された著作物は、引用して利用することができる。 この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
この通り、
正当な範囲内
というのが大きなポイントで、基本的には引用する側を主、引用される側を従とし、分量は主 > 従となるように心がけることが通例となっています。
これはある意味「書かれざる掟」なのかもしれませんが、別に WWW 上に限ったことではなく、文章に携わる人にとっては常識だろうと思いますので、改めて木村剛氏に説く必要はないでしょう。
本文 No.4 : 「読者にとって」という詭弁
木村剛氏は
文章表現上、「リンク」という形態よりも、「転載」に近い「全文引用」の方が、読者にとって読みやすく理解されやすい
といった表現や
クリックしないで紹介文とともにとおしで一目で読める方が読者にとって親切である
といった表現を使っていますが、これは読者という存在を利用した詭弁、あるいは読者に対する冒涜ではないだろうかと捉えました。
乱暴な言い方をしてしまうと、 「転載しておかないと、リンクで示してもどうせ読まないだろう」 「転載しておかないと、クリックという行為を面倒臭がるだろう」 といった、読者に対する先入観を持っているのではないか、そう思いました。 実際にそういった読者がいらっしゃるのかもしれませんが、全ての読者がそうであるとは限りません。 少なくとも私はリンクで示してもらっていた方が著者の考えなり主張なりをスムーズに理解できます。 単に木村剛氏自身が全文を転載したいからあれこれ理屈を並べているようにしか見えません。
本文 No.5 : 転載は全て不可なのか
誤解してはならないのは、全ての転載が否定されるべきものではないということです。
人によっては転載されることを厭わないでしょうし、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスというライセンスを宣言している人もいます。
私も About this site - Copyright & Link にて、
記述したのが私である旨を明記した上で、恣意的な改変や編集を行わない限り引用の範囲を越える転載もご自由にどうぞ
と宣言しています。
ただし、全ての人が転載されることに肯定的であると言えば、答えは No です。
WWW では転載よりもリンクが主流であり、また手軽であるため、リンクを肯定する方が多い傾向があります。
それを無視してどんどん転載し、「嫌だったら言ってくれれば消すよ」というのはマナーとして問題があるというか、
モノ書き
としのプライドを自ら潰してしまっているというか……ご自分で
他の著者の文章を「転載」するだけで、濡れ手で粟の利益を得ようとする行為は、明らかな著作権の侵害になります
と仰っていることを失念していませんか ?
まとめ
- リンクと転載と引用は別物
- 木村剛氏は比較対象が不明瞭なまま自らをシロウトとし、弱者的な立場にあると見せることで調べる努力を怠っている
- 読者の利便性を引き合いに出さずに、それが正当な行為かを考えるべき
- 転載が全て否定されるべきではないが、 WWW ではリンクの方が主流な上に手軽
- 著者の意向を無視した転載が良くない行為であるということは木村剛氏自身も認識はしているようだ
長々と書いた分をまとめるとこんな感じでしょうか。 木村剛氏は最初の段階で認識違いをしているため、以降のボタンを掛け違えたままになっています。 リンクと引用と転載は違うということを理解していただければ自ずと正しい理解を得られると思うのですが。

