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飲酒運転の対象は ?
「飲酒運転」という言葉はニュースなどでよく耳にすると思います。
道路交通法でどのように定められているかというと、第 65 条に次のような条文があります。
第65条 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
2 何人も、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
(罰則 第1項については第117条の2第1号、第117条の4第2号)
車両等
とありますが、その車両等とは具体的に何を指すのか ?
第 2 条にて、次のように定められています。
- 8.車両
-
自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。
- 9.自動車
-
原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、原動機付自転車、自転車及び身体障害者用の車いす並びに歩行補助車その他の小型の車で政令で定めるもの(以下「歩行補助車等」という。)以外のものをいう。
- 10.原動機付自転車
-
内閣府令で定める大きさ以下の総排気量又は定格出力を有する原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、自転車、身体障害者用の車いす及び歩行補助車等以外のものをいう。
- 11.軽車両
-
自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のものをいう。
- 11の2.自転車
-
ペダル又はハンド・クランクを用い、かつ、人の力により運転する2輪以上の車(レールにより運転する車を除く。)であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のもの(人の力を補うため原動機を用いるものであつて、内閣府令で定める基準に該当するものを含む。)をいう。
- 11の3.身体障害者用の車いす
-
身体の障害により歩行が困難な者の移動の用に供するための車いす(原動機を用いるものにあつては、内閣府令で定める基準に該当するものに限る。)をいう。
- 12.トロリーバス
-
架線から供給される電力により、かつ、レールによらないで運転する車をいう。
- 13.路面電車
-
レールにより運転する車をいう。
- 17.運転
-
道路において、事両又は路面電車(以下「車両等」という。)をその本来の用い方に従つて用いることをいう。
よって、
車両等
とは
事両又は路面電車
ということであり、すなわち
- 自動車
- 原動機付自転車
- 軽車両
- 自転車
- 荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)
- トロリーバス
- 路面電車
ということになります。
お酒を飲んで自動車に乗って公道を走れば道路交通法第 65 条違反、お酒を飲んで自転車に乗って公道を走っても同様、路面電車を運転しても同様 ( それ以外に懲戒処分等も付与されそうですが ) 、馬に跨って公道を走っても同様……。
( 余談ですが、馬の方が酒気帯びだった場合は整備不良扱いになるそうです。 )
政党党首すら知らないという事実
さて、何故こういった話を持ち出したか。
私自身の話になりますが、出勤前に朝食を摂りながら見るテレビ番組は、最近は TBS 系列のみのもんたの朝ズバッになっています。
( 単にニュースや天気予報が流れるタイミングが私のサイクルにちょうど良いという理由で見ているだけですが。 )
そして、今朝のニュースで「俳優の杉本哲太氏が、他人の自転車に乗って事情聴取を受けた」というものが流れ、司会のみのもんた氏が
「酔って自分の自転車と間違えたっていうけど、そもそも酒を飲んで自転車に乗ること自体が間違っている」
といった旨の発言をした際に、コメンテータとして出演していた福島みずほ氏 ( 社民党党首 ) が
「でも自転車の場合は飲酒運転にはならないんですよね」
という発言をしたのです。
口調として疑問系 ( ならないんですよね ? ) ではなく断定に近いものであり、直後に他の出演者から「なるよ ! 」という指摘を受けて訂正していましたが……。
全ての法律を熟知すべしというつもりはありませんが、弁護士というキャリアを経て国会議員になった方が、間違った理解のままそれを披露したことに驚いたので、書いてみた次第です。
( まあ以前から「犯人の人権>警察官の人命」発言や「艦船から B52 が飛び立つ」発言などの発言はありましたが……。 )
酒気帯び運転と酒酔い運転
飲酒運転には、俗に言う酒気帯び運転と酒酔い運転があります。
- 酒気帯び運転
-
第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの
第 117 条の 4 にて罰則が定められており、
1年以下の懲役又は30万円以下の罰金
となっています。
その判断は呼気に含まれるアルコールの量でなされ、呼気 1 リットル中 0.15m 以上がボーダラインとなっています。
なお、 0.15mg 以上 0.25mg 未満であれば違反点数は 6 点、 0.25mg 以上であれば違反点数は 13 点となっています。
また、この場合は軽車両を除いた車両等が対象となります。
- 酒酔い運転
-
第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの
第 117 条の 4 にて罰則が定められており、
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
となっています。
これは明確な数値基準はなく、アルコールによって正常な運転ができない状態であった場合に適用されます。
極端な話、同じアルコール量でもお酒に強い人だと酒気帯び運転の範囲でも、お酒に弱い人だと酒酔い運転になってしまうこともあります。
なお、違反点数は 25 点となっており、 2 年以上の免許取り消しになります。
また、この場合は車両等が対象となります。
自転車も走る凶器となり得る
番組中でみのもんた氏が「酒を飲んで自転車に乗ること自体が間違っている」と発言したと述べましたが、これは正しい意見だと思います。
飲酒の有無に関わらず、自転車で歩行者をはねて死亡させたり、あるいは怪我を負わせたりというケースは充分に考えられます。
また、飲酒運転の自転車同士が出会い頭に衝突のように、
業務上過失傷害と道路交通法違反(酒気帯び運転)容疑
という、自動車の飲酒運転の場合と同じ扱いをされるケースも実際にありました。
調べによると、杉本さんは7月17日深夜、東京都世田谷区内の路上を拾った自転車で走行し、警察官に職務質問された。
持ち去ろうという意思があったという。
所属事務所のコムスシフトによると、杉本さんは
「当時は酩酊(めいてい)状態で記憶が定かではなかった。
大変申し訳ないことをした」
と話しているという。
世田谷署では微罪として処分する方針。
杉本氏の件は微罪として扱われていますが、酩酊状態であったなら酒酔い運転として扱われるべきでしょう。
( 酒気帯び運転は軽車両は対象外ですが、酒酔い運転は軽車両も含まれます。 )
占有離脱物横領容疑としては微罪なのかもしれませんが、酩酊状態で自転車を運転することは微罪ではありません。
私はみのもんたの朝ズバッ以外ではこのニュースを見かけていませんが、酒酔い運転の事実に触れているものはあったのかなあ……。
リプライ
15 件のリプライが送られています。
- 2005-09-21T05:51+09:00 - 社民党福島党首、自民党の新人議員マスコミ対策教育に噛み付く < Blog 一番星
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21日 5:30からのTBS「みのもんたの朝ズバッ!」にて、社民党・福島みずほ党首が、自民党の新人議員教育用のマスコミ対策に関して書かれた紙を前に、ごちゃごちゃ...
- 2006-03-27T12:37+09:00 - はてな
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第117条 車両等(軽車両を除く。以下この条において同じ。)
なので,第117条のなかでは軽車両は除かれるのでは.よって酒酔い運転に軽車両が含まれるは間違いでは?
- 2006-03-28T01:09+09:00 - 真琴
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調べてみたら、平成 13 年法律第 51 号による道交法の改正において、「軽車両による酒酔い運転の罰則について、車と同一のものが適用される」ことになったという記述が何件か見受けられました。ただし、実際に法律第 51 号 ( <a href="http://www.shugiin.go.jp/itdb_housei.nsf/html/housei/15120010620051.htm">http://www.shugiin.go.jp/itdb_housei.nsf/html/housei/15120010620051.htm</a> ) を読んでみると、明確には書かれていませんので完全な根拠ではありません。
ただし、警視庁の広報 ( <a href="http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kouhoushi/no11/koho11.htm">http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kouhoushi/no11/koho11.htm</a> ) によると、やはり自転車であっても酒酔い運転には「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられるとありますので、自動車と同様の扱いになっているのでしょう。
また、第 117 条の「車両等(軽車両を除く。以下この条において同じ。)」という記述があるにも関わらず、第 117 条の 2 では「車両等を運転」、第 117 条の 4 では「車両等(軽車両を除く。)を運転」と書き分けているため、第 117 条の「以下この条において~」という表現との整合性が取れていないのでは、と思います。
- 2006-03-29T12:36+09:00 - はてな
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真琴様
いろいろご調査いただきありがとうございます.
私が調べた範囲でも明確な論拠をもとに軽車両による酒酔い運転の罰則について、車と同一のものが適用される」としたものはありませんでした.
専門家ではありませんが,法律の基本的な教育を受けた立場からすると,常識的には「以下この条において同じ」場合は,その条全体での用語定義となります.
仮に「以下この項において同じ」ならば,第117条(の1)だけで適応される定義であり,第117条の2などには影響を及ぼしません.よって,この仮定では第117条の2での車両等には軽車両も含まれることになります.
常識的には第117条の4での「車両等(軽車両を除く。)を運転」は,冒頭での用語定義と離れてしまったことからの繰り返しと解釈するのが妥当です.
酔っぱらって自転車で危ない運転をするのを勧めているわけではありませんし,違法行為ではあるが罰則がないというだけです.ただ,違法行為といっても,あくまでも道路交通法での禁止事項というだけで,憲法などの上位法から判断すると程度にもよりますが,個人の自由の範囲とも考えられます.
警察の広報活動の趣旨として警告をしたいのだと思っていますが,推定無罪の原則からもこの条文から罰則適応できるとは思いません.
拡大解釈であるし,警察職務執行としては法の精神に反した行為ではないかと懸念しています.
- 2006-04-03T20:00+09:00 - 真琴
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> 冒頭での用語定義と離れてしまったことからの繰り返し
なるほど、そういう理由で「以下この条において同じ」にもかかわらず再度「軽車両を除く」とただし書きをするのですね、勉強になりました。
現状は違反行為であるが罰則は無い状態というのも分かりますが、飲酒運転の自転車による死亡事故のニュースも時折耳にしますので、今後は明確に罰則が定められるかもしれませんね……。
- 2006-04-26T23:35+09:00 - 元法学部生
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自動車などに対し軽車両の処罰が過重なので、法的均衡が取れず無効という趣旨の判例があります。
その後、それを覆す判例がないとすれば福島さんが正しいことになります。
法律はただ条文を読むだけではダメなので難しいですよね。
- 2006-04-27T19:11+09:00 - 真琴
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>自動車などに対し軽車両の処罰が過重なので、法的均衡が取れず無効という趣旨の判例
むむ、それは知りませんでした。私のように条文だけを根拠に語るだけでは落とし穴があるということですね。
ただ、 <a href="http://hxxk.jp/2006/03/29/2357">http://hxxk.jp/2006/03/29/2357</a> で書いたように、悪質な違反には厳しく対処するという流れになっていますので、軽微な違反とは言えない飲酒運転は、やはり処罰されると考えた方が良いでしょうね。
- 2006-08-27T13:00+09:00 - 通りがかり
-
場違いかもしれませんが、純粋に
法治国家というものを考えれば
たしかに自転車等軽車両も厳罰化
しなければならないでしょう。
それに、時折見かける酒酔い運転に
よる自転車の死亡事故などからしても
そういう流れになるのかもしれません
が、しかし、現実の問題とあまりに
乖離した法律(制度といってもいい)
は、いくら作ってもどこかに皺寄せが
来て、みんなが息苦しくなってしまう
だけと思うのですが。
- 2006-08-31T01:47+09:00 - 真琴
-
> 通りがかりさん
現実のどういった点において、乖離が生じているんでしょう ?
自転車の交通違反への対策強化が昨今行われましたが、元々罰則が定められていたものをほとんど見逃していたという状況を改めたという内容です。
たとえば歩道の通行は、現在の道路状況を鑑みて確かに乖離しているかもしれません。しかし、飲酒運転はどうでしょう ?
充分に人を死に至らしめる可能性があるものを、記憶が定かではないような酩酊状態で扱っているという状態を見逃すことの方が、その被害に遭うかもしれない方としては息苦しいと思います。
# また、そう思わない人もいるかもしれませんが、何気なくやりがちな自転車の右側通行も、私はとても危険だと思っているので、ある程度は取り締まりを行って、危険な行為であることをアピールしてもらいたいと考えています。
- 2006-09-12T12:08+09:00 - ぷらら
-
はじめまして。
僕も 真琴 さんの意見に賛成です。
自転車に対する取締りは年々強化されつつある。2人乗りに切符がきられ、こんどからは無灯火自転車に対しても、指導に即時従わない場合は、罰金に処するそうだ。
今後も自転車に対する厳しい指導がなされると思うので、次第に自転車を含めた検問とかも行われるかもしれません。
- 2006-10-02T20:15+09:00 - 真琴
-
> ぷららさん
すみません、お返事がかなり遅れました。
ここ数日のニュースでは、交通安全運動に関連してか、摘発のニュースが見受けられますね。無灯火(http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/chiba/news/20060929ddlk12040044000c.html)とか酒酔い運転(http://www.sankei.co.jp/news/060927/sha017.htm)とか。
これらの摘発については道交法に則っているので不満はありませんが、取り締まるばかりでなくルールの啓蒙も行って欲しいです。
自動車と違って体系的な講習などが無いので、これを機に実施してもらいたいなあと思います。(例えば学校や職場で研修を行うとか、地域の交通安全運動の一環で自転車のルール教室を行うとか。)
- 2006-10-21T01:47+09:00 - RA
-
何となく、ここにたどりつきました。今の警察のとりあえず、規制を強化し、罰則を強めれば安全、というような安易な規制があるとは思いませんか。制限速度をみれば、明らかに、現実を無視した低速度で制限がされています。自転車が自動車と同じ扱いというのは、明らかにバランスを無視しています。むしろ、自転車の通行で、現実的に一番危険を感じるのは、無灯火と、車道を走る自転車が、車道の信号に従わないで赤信号の横断歩道を突っ切るケースと、車道を自動車と同じ進路で走るケースです。現実を無視して、規制だけ強化する警察の姿勢の方が問題です。
- 2006-10-21T13:05+09:00 - 真琴
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そうですね。取り締まりや罰則の強化が最近顕著になっていますが、それだけでは改善効果は薄いと考えます。
<a href="http://hxxk.jp/2006/03/29/2357">http://hxxk.jp/2006/03/29/2357</a> の記事やコメント欄で私の考えを示していますが、取り締まりはしっかりと行いつつ、ルールの啓蒙や自転車と自動車の共存ができるようなインフラの整備を進めてもらいたいと思っています。
- 2008-04-26T09:57+09:00 - うーた
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" 自動車などに対し軽車両の処罰が過重なので、法的均衡が取れず無効という趣旨の判例があります。"と書かれている人がいますが,知っている地検の判事に聞いたところそんな判例はないと一蹴されました。最高裁判例検索でもそのような判例は見つからないのですが,情報源は何でしょうか?
- 2008-04-26T10:09+09:00 - う~た
-
すみません。先ほどの書込みで判事と検事を間違えて書いたかも...
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