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2006 年 4 月 25 日の第 164 回通常国会衆議院本会議にて改正刑法が成立
万引きにも罰金刑が科されるようになるかも (2) で
以前万引きにも罰金刑が科されるようになるかもで、法務省が窃盗罪における刑罰に罰金刑を新たに設けることを法制審議会に諮っているということを書きましたが、平成 18 年 2 月 24 日付けで第 164 回通常国会に法律案が提出されていたようです
と書いていましたが、 2006 年 4 月 11 日に法務委員会に付託された後、 4 月 25 日の衆議院本会議にて全会一致で法務委員長報告の通り可決されたようです。
日程第六 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
右議案を議題とし、法務委員長の報告の後、全会一致で委員長報告のとおり可決した。
万引き ( = 窃盗 ) を取り巻く状況はどう変わるか
これを受け、新聞社のニュース記事などでも報道されました。
窃盗罪に新たに罰金刑を設ける刑法などの改正案が、25日の衆院本会議で可決、成立した。 窃盗罪は現在、10年以下の懲役しかないが、50万円以下の罰金刑を加えた。
罰金刑の対象に想定されているのは、少額の万引きなどを繰り返したケースだ。 犯人を摘発しても、これまでは身体の自由を奪う懲役刑しか選択肢がなかったため、検察官が起訴猶予にするケースも少なくなかった。 窃盗の起訴猶予率は04年で43%にのぼる。 罰金刑の導入で、従来処罰されなかったケースも処罰し、再犯防止につなげたいと法務省は説明している。
少額の万引きを繰り返すケースというのは、
- 食べるものに困ってパンやおにぎりなどの食品を万引き
- ゲーム感覚・度胸試し
- クレプトマニア ( 盗癖依存症 ) によるもの
あたりが考えられるでしょうか。 これらのケースにおいて、窃盗罪への罰金刑の新設がどのように影響するかを考えてみましょう。
まず金銭的な理由、食べるものに困ってやむなく万引きをするというのは、「万引きを繰り返して懲役になった方が、衣食住を確実に確保できる」という理由にもつながっています。 ( 「刑務所のほうがきちんと食事できる」という動機で万引きを行ったニュースもあります。 ) この場合は罰金刑を科しても払えないだろう……という見方もできますが、集団暴走の代金、しめて 1590 万円也 - たかが罰金 ? で触れたように、労役場留置という制度があり「罰金を払えないから罰にならない」ということにはなりません。 労役場留置でも食事は支給される ( のだと思います ) ので、捕まるためにわざと万引きを行うというケースは罰金刑の新設でも変わることはないと思います。 「刑務所を出ても仕事が無い」→「また捕まって刑務所に入った方が生命の保証は確実だ」という情勢を改善する必要があるでしょう。 ( 「刑務所内の待遇を低くせよ、あるいは刑務所内では受刑者に厳しくせよ」とか、「刑期を短くして早々に社会復帰させよ」ということではなく、刑務所から出た後の職の確保などを支援するといった施策を講じて欲しい、ということです。 それを実現するのは多くの問題を解決しないといけないとは思いますが。 )
次に、ゲーム感覚や度胸試しなどの、いわゆる中高生が万引きを行う理由に挙げられるものについては、万引きにも罰金刑が科されるようになるかもで述べた通り、「万引き程度でいきなり懲役刑になることはないだろう」「見つかっても商品の代金を支払えば許されるだろう」といった甘い認識を改めるきっかけになると思います。 これまでは自由刑しか窃盗罪に対する罰則は無く、処罰するには被害額が軽微ということで見過ごされてきたものに財産刑を科するということは、「捕まってもめったには罰せられない」という風潮が改善されるという期待が持てます。
最後に、盗癖依存によるもの。 これについては正直なところ、刑罰を以って再犯を防止できるのか、私には判断できません。 クレプトマニアに関する All About のページなどが参考になりますが、こういったケースにおける刑罰に抑止効果があるのかというと、全く無いとは言えないまでも効果的であるとは思えないからです。
窃盗罪以外にも関係する改正刑法
窃盗罪の罰金刑新設以外にも、公務執行妨害及び職務強要の罪における罰則にも 50 万円以下の罰金刑の新設をすることや、業務上過失致死傷等の罪のおける罰金刑の上限を 50 万円以下から 100 万円以下に引き上げることが今回の改正刑法に盛り込まれています。
先日書いた駐車違反に関する改正道路交通法 6 月 1 日施行のまとめでも少し触れましたが、「みなし公務員」という身分になる駐車監視員に対する暴行又は脅迫も、公務執行妨害及び職務強要の罪になる可能性があるため、合わせて覚えておいた方が良いでしょう。
業務上過失致死傷等の罪のおける罰金刑の上限引き上げは、
交通事故被害者の要望が強かった
という背景があるようです。

