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実践 Web Standards Design と仕様書との関係性
アヨハタブログ | 実践Web Standards Design―Web標準の基本とCSSレイアウト&Tips にて実践 Web Standards Design について触れられていたので、それに対する私の見解を書いておこうと思います。
ただし、
前に仕様書仕様書と五月蝿い人はアレだという話を書いたんですが、どうもニュアンスが伝わってなかったんで、なんかキッチリ書いた方がいいなと思った。僕が言ってるのは、W3Cとかの仕様書。
というリードから入っているのですが、該当するリソースへのリンクが無いため、どういった点が
アレだ
に該当するのかよく分かりませんでした。
アヨハタブログ | 僕にとっての「Web標準」では
W3CやISO,IETF,IANA,ECMA,OASISなどが取りまとめているものってのが僕の根本的な考え方です
と書かれてありますし、アヨハタブログ | 一区切りの
仕様書はあくまで仕様書。
そこにユーザーエクスペリエンスは表現されてないから、実装フェーズがそれを考える。
仕様書ばっか信じるな
という記述を見る限り、「仕様書の策定者 = W3C 」ではなく「仕様書の策定者 ⊃ W3C 」と考えられているようですし、仕様書を無視あるいは軽視することなく、仕様書の記述を基本に実装段階で膨らみを持たせる手順を踏まれているように思えます。
実践 Web Standards Design は、全体的には HTML と XML と XHTML と CSS に重きを置いていますが、本文の最初で Web Standards は W3C だけが策定しているのではないですよ、ということは書いています。 また、全体的に仕様書を基準にして書いていますが、その範囲だけに留まっているわけではありません。 例えば 25 ページから触れている「プレーンテキストからマークアップする」という手順は仕様書ではなく私の持論から書いたものです。
それを踏まえると、アヨハタさんと私の考え方は非常に似ていると思いました。
その後の段落で
で、この本って正直、初級者から中級者に上がりたいってひと向けの本かなって思います。 そういったひとにはオススメしますが、初心者にはお薦めしません。
理由としては、「仕様書を見て下さい」的な所が多い所です。 僕としては、仕様書って根底のものを見るってのは大切だと思うけど、そこに対して仕様書を理解する事と英語を読むって、二重苦がある気がします。 じゃあ英語覚えろよって話にはなるんですが。
と書かれてあるので、実践 Web Standards Design は仕様書を参照する部分が多く、初級者向けではないから
仕様書仕様書と五月蝿い人はアレ
という表現に紐付けられているのかなと推測して、以後に見解を述べます。
そもそものコンセプトが初級者向けなのか中級者向けなのか
先に結論から述べておきますが、執筆の段階、また完成後のプロモーションの段階のいずれにおいても初級者向けであると考えたことはありません。 もちろん、基本を全く省いているわけではないので、初学者向けの解説書と組み合わせて使うことで、初級者にも役立てていただけるようには配慮しています。
以前書いていた Tour "personal CSS Nite" という記事は、初めて公言する気もしますが、九天社の担当の方から実践 Web Standards Design の執筆依頼を受け、その打ち合わせに上京することを、「打ち合わせ」という目的を伏せて上京することのみお知らせしていたものでした。 この時の打ち合わせのメモを読み返してみましたが、その時点からターゲットは「初級の中レベル以上~(初心者は除く、という程度で考える)」という方向になっていました。
元々、打ち合わせ以前の執筆依頼メールをいただいた際も、既存の解説書との差別化を図るために中・上級者向け Tips を全面的にアピールしたいという旨が書かれてありましたし、その後原稿執筆が進み九天社版の内容を流通関係者に知らせる際も、「一歩先の Web 標準ガイドブック」というコピーを用いました。 これは担当の方が示してきたコピーだったのですが、コピーを決定してアナウンスする前に、著者である私たちにも確認が求められ、双方で納得の上で決定したコピーです。
また、諸事情で出版社を新たに再刊行することになった際には、はじめにも手を加え、
初学者向けではなく中級者向けに、Web制作の現場での実践に活用できる書籍
であることを明確に謳いました。
その内容は出版社の書籍案内ページで確認できます。
そのため、同案内ページに書かれた
一からWebサイト制作を学びたい,すべての方
におすすめとされているのは少々矛盾がありますが、これは当時確認する余地があったのに徹底できていませんでした。
修正できるかどうか尋ねてみたいと思います。
仕様書をあわせて読まないと理解できないのか
続いて、
「仕様書を見て下さい」的な所が多い所です。
僕としては、仕様書って根底のものを見るってのは大切だと思うけど、そこに対して仕様書を理解する事と英語を読むって、二重苦がある気がします。
という部分について。
関連 URI 一覧から、仕様書へのリンクを行っているページを再度確認してみましたが、書籍単体ではなく必ず仕様書を読まないといけないような部分は無かったと考えています。
一例を挙げてみると、 4 ページの
Introduction to HTML 4 の 2.4.1 Separate structure and presentation に、「プレゼンテーション的な要素や属性は他の方法、特にスタイルシートに置き換えられていく」 *2 と示されているように
という部分は、 2.4.1 Separate structure and presentation の仕様の記述である
As HTML matures, more and more of its presentational elements and attributes are being replaced by other mechanisms, in particular style sheets.
という部分を、拙い訳ですが日本語に直し、「」書きで地の文と区別して本文に記載しています。
仕様書の記述が英語であるために、その内容をそのまま載せるのではなく邦訳して載せていますが、どうしても邦訳時にニュアンスが変わる可能性があるため、必要に応じて原文を確認してもらいたいと思い、注釈を付けて仕様書への参照を行っています。
もちろん、仕様書の原文と邦訳を併記することが最も分かりやすいとは思いますが、流石に紙面の都合上原文についてはポインタのみを示し、各自参照するような形にしかできませんでした。 章によっては、その節の最後に仕様書の記述を記載しているものもありますが、ページが離れていることもあり確認し辛い点は否めません。 これは出版社が新しくなる際に改善できればよかったのですが、組版作業や刊行時期の関係で、基本的なページ構成は変えられなかったので、心残りではあります。
インターン等に渡して勉強させる場合は、副読本を添えることをお勧めします
そして、
もし、自分の会社でインターンでHTMLとCSSやりたいって子にはわたして勉強してね、って本ではないかなって思いました。
そういった視点で、仕様書読めってのは、やる気がある子に対してはしょっぱなから、大きい壁すぎるので、もっと下げた壁を与えるべきかなって思う。
という部分について。
これはそもそものコンセプトが初級者向けなのか中級者向けなのかで述べたことと少々重複しますが、私は初学者向けの解説書やリファレンスを副読本として組み合わせて使うことを推奨しています。
九天社版では教育現場よりも実践現場で使われることを想定していたため、副読本については触れていませんが、九天社版の刊行後に教育現場でも活用されているという報告を受け、技術評論社版でははじめにで Web標準テキスト(3) HTML/XHTML や Web標準テキスト(2) CSS といった具体名を挙げました。
はじめに内では技術評論社の書籍から推奨する副読本を選びましたが、他社の書籍からもお勧めしたい書籍はあります。 リファレンスとして詳解HTML & XHTML & CSS辞典、初学者向けとして一週間でマスターするXHTML & CSS for Windows などが良いと思います。
ページ数について
最後に、
この本を読んでる時にMacBookに落として端っこが欠けたんですが
というくだりを見て申し訳ありません !
と思ったのが、ページ数の多さとそれに伴う本自体の重量です。
実は、九天社の担当との最初の打ち合わせから、原稿の執筆を開始する段階では 280 ページくらいの分量を想定していました。
( 価格も 2,000 円台の予定でした。 )
ところが原稿の執筆も中盤から終盤に差し掛かる頃に、その時点での原稿を配分した段階で 400 ページを超えるという連絡が入りました。 話し合いの結果、内容はどうしても削れないということで原稿執筆を続け、多色刷りのページが減りそれでも価格も上がってしまうことになるけど、できる限りの内容を詰め込むことで決定し、 426 ページで 3,360 円というボリュームになりました。
重量にするとゆうに 700g を超え、「通勤中に電車の中で勉強しようと思ったけど辛い」「分厚さにちょっと引いた」などの声が複数見受けられました。 技術評論社版は使用する紙を薄くしているため、厚さも重さも軽減されていますが......新しい方でも 500g は超えるため、やはり実質的にも内容的にも重厚な本であるのは確かです。
ご意見やご質問は遠慮なくお寄せください
以上がアヨハタブログ | 実践Web Standards Design―Web標準の基本とCSSレイアウト&Tips で触れられていた点に関する私なりの見解です。 アヨハタさんへの応答を簡潔に書くつもりが、良い機会だったので執筆時のコンセプトや仕様書との関係性を改めて書かせていただきました。
今回のようなご意見やご質問をいただけると、今まで見えていなかった点などを振り返る良いきっかけになりますので、実践 Web Standards Design インフォメーション & サポートページやサンプルページにコメントやトラックバックをお寄せいただくか、あるいは makoto[at]hxxk.jp にメールでお知らせいただけると嬉しいです。
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実践 Web Standards Design は当初から中級者向けをコンセプトにしていたことと、仕様書を基本に書きつつも丸投げはしていないということを述べさせていただきました。
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