母子手帳の表紙を絵本作家「のぶみ」氏のイラストにしませんか、と内閣府が推し進めている話

記事内目次
内閣府子ども・子育て本部が「のぶみ」氏推しという情報が廻ってきた
昨日あたりから、Twitterのタイムラインに、内閣府子ども・子育て本部が絵本作家「のぶみ」氏のイラストをシンボルマークに起用し、各自治体の母子手帳にも使用を勧めるtweetを行っているという内容が複数流れてきました。
自治体職員の皆さま!
母子手帳の表紙を絵本作家「のぶみ」さんのかわいいイラストにしませんか!!
詳しくはこちら→https://t.co/E5M4pitJuA
— 内閣府子ども・子育て本部 (@sukusuku_japan) December 5, 2017
内閣府子ども・子育て本部のtweetは2017年12月4日付ですし、facebookのほぼ同内容の投稿は2015年12月24日付ですから、何故急に話題に?
【自治体の皆さまへ】母子手帳の表紙を「のぶみ」さんのイラストにしませんか? 絵本作家の「のぶみ」さんによる子ども・子育て支援新制度のシンボルマークやキャラクターを配した母子健康手帳の表紙のデザインデータを内閣府ホームページに掲載しまし…
子ども・子育て本部さんの投稿 2015年12月24日木曜日
春名風花さんのtweetがBuzzっていた
誰かのtweetがBuzzっているのかな?と思って少し辿ってみたら、春名風花さん(id:harukazechan)のtweetがBuzzっていました。
のぶみさんは「流産や病気や死は感謝が足りなかったから」「流産するのはお母さんがケンカしたから」という思想をお持ちの作家さんですが、内閣府子ども・子育て本部さんの流産に対する考えも、それと同じと考えて良いのでしょうか。 https://t.co/APou5yEnpa
— 春名風花 official (@harukazechan) November 4, 2018
他にも、さんかく【△】さん(id:iKvYueM1hxMFavF)のtweetもBuzzっています。
流産は感謝が足りないからだとのぶみ氏は言っておられますが、母子手帳をもらってから流産をすることもありますよね?
死ぬこと、病気になることは感謝が足りないからだということです。
命を扱う母子手帳に、なぜ彼のイラストが描かれなければならないのでしょうか?
意味がわかりません。— さんかく【△】 (@iKvYueM1hxMFavF) November 3, 2018
絵本作家「のぶみ」氏とは
私個人のスタンスとしては、のぶみ氏の絵本に否定的な立場です。そのため、私自身の言葉だけでのぶみ氏を語るのではなく、まず2つほどのぶみ氏を評しているリンクを紹介します。
絵本は、メディアだと思っているので、必ずしも「子どものだけためのもの」とは思っていません。ただし、適切なゾーニングが必要な分野ではないかと思っています。あと、のぶみ氏の絵本のような、「あざとい」作品が過去になかったわけではありません。
と、中立というかのぶみ氏以外にもセンセーショナルな内容のものはあるよ、購入者(親)が選ぶものだよと締めています。
超人気絵本作家・のぶみ『このママにきーめた!』が押し付ける母子の逃げられない結びつきでは、
「子供は母親を選んで産まれる」という思想はわりとポピュラーなものになりつつある印象だが、私がこれを肯定出来ないのは、母親との関係が良好ではない子供、母親からの虐待を受けている子供も、そんな母親を選んで産まれたと解釈されるおそれがあるからだ。ひいては母親の虐待によって死に至った子供も、そんな母親を選んで産まれてきたということになる。親子は血縁関係がすべてではない。残念なことではあるが、すべての母親が子供を慈しみ育てられるわけではないことは、昔から繰り返される様々な家庭での事件報道からわかることではないか。
と述べられています。
『このママにきーめた!』の帯では「ママを喜ばせるために産まれました。」とあります。結果的に、産まれてきた後の色んな出来事でママを(そしてパパも)喜ばせるという場面はたくさんあるでしょう。でも、そのためだけに赤ちゃんは産まれ出るものではありません。
のぶみ氏の論評からは若干外れてしまいますが、「心屋仁之助」氏という方も、「キミの娘さんは叩かれるために生まれてきたのよ」などと述べる自己啓発ビジネスをされています。
「○○のために産まれてきた」なんて、親本人ですら決めつけられないのに、第三者が語るなんてことはできません。そのため、私はのぶみ氏や心屋仁之助氏の考え方を肯定していません。
もちろん、言論や出版の自由はありますから、のぶみ氏の絵本や心屋仁之助氏の本を書店で売るな!などとは主張しません。「私はこういう理由で買いません」と表明します。
絵本は避けて通れるけど、母子手帳は避けられない
先ほどのセクションで、のぶみ氏以外にも同様の絵本はあり、購入者が選ぶものだという意見を紹介しました。
絵本についてはゾーニングできるものかもしれませんが、今回の母子手帳は「住んでいる自治体が採用してしまったら、その年度に該当した対象者には一律に配られる」という点が大きく異なります。
最初のセクションでも書いたように、少なくとも2015年12月にはこの話は持ち上がっており、既に兵庫県西脇市などで採用事例があるようです。
西脇市民「のぶみデザインの母子手帳イヤです!」
西脇市「普及のため我慢しろ」https://t.co/dHimPpkzpq pic.twitter.com/wtmM7KQOSH— 岡部拓哉_新聞マンガ研究所HP管理人・『EYEMASK』発売元 (@shimbun_manga) November 4, 2018
母子健康手帳の表紙デザインについて、すくすくジャパンのデザインを使用するとの回答がホームページに載っていますが、そのデザインも人によって好き嫌いがあります。なので、表紙を選べるように複数の母子手帳を用意してもらいたいです。ディズニーやジブリなど、複数の表紙を用意して選べるようにしたらいいではないですか。一度やってみて、どの柄が人気があるかを調べてみたらいいと思います。予算等やらない理由はすぐ言えますが、やってみてから「市民の反応」という結果を持って、やらない理由にしてください(平成30年9月19日受付)
母子健康手帳は、国が示す手帳の内容や様式が毎年のように変更されるため、毎年買い替えが必要となり、手帳を翌年用にストックしておくことが困難です。また、表紙のデザインを複数揃えるためには、異なる出版社が発行する手帳を準備することとなり、さらに出版社によって構成が異なるため、健診時に必要なページを探し出すことに時間が掛かってしまいます。ひいては健診に来ていただいている皆さんの待ち時間増加につながります。以上のことから、表紙のデザインを統一した母子健康手帳を使用したいと考えています。
西脇市では引き続き、内閣府が推進する「子ども・子育て支援新制度」のシンボルマークである「すくすくジャパン!」のデザインを、母子健康手帳の表紙に使用したいと考えています。「こども子育て支援新制度」は、質の高い教育・保育及び地域子ども・子育て支援事業を実施し、妊娠・出産・育児の切れ目ない支援を通じて全ての子どもが健やかに成長するよう支援するものです。本市もこの制度の普及啓発活動に寄与したいと考えているため、御理解をいただきますようお願いします。
内閣府等に対する意見提出先
のぶみ氏が絵本や本を出版することは止められませんが、こと「国の施策に対してのぶみ氏を起用すること」に対して意見することは自由です。
- 内閣府への意見提出先
- 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 TEL 03-5253-2111(代表) 内線(38340) 内閣府子ども・子育て本部
- 内閣府共通意見等登録システム「子ども・子育て」に関する御意見について
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