徳島真次元鞍手町長の汚職事件に関するまとめ
- 2018.11.08
- 地方自治
- 【自治体】福岡県鞍手町, 汚職

記事内目次
事件の概要と時系列
福岡県鞍手町の元町長である徳島真次被告が絡む汚職事件は、4回の逮捕・起訴を経て2018年11月8日に(徳島真次氏に関わるものとしては)初の公判が開かれました。
これから更に事態は進んでいくものと思われますが、以前からこの事件についてはTwitterなどでメモしていたので、一旦まとめておきます(そのため、随時追記やリライトを行う可能性があります)。
また、以下の表は基本的には新聞紙面や新聞社のWebニュースから作成していますが、報道記事の内容セクションで、著作権法に定められた範囲で記事内容の引用を行っています。
時期 | できごと | ||
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2013年 | 1月 | 27日 | 鞍手町長選挙が実施され、徳島真次氏が初の当選(2018年10月17日付 西日本新聞) |
28日 | 徳島真次町長 1期目の任期開始 | ||
時期不明 | 徳島真次被告と浦田宗徳被告、国会議員の元秘書を通じて知り合う(2018年12月20日付 西日本新聞) | ||
11月 | 28日 | 社会福祉法人関係者らから特養開設に関して有利な取り計らいを図るよう依頼される | |
2014年 | 2月 | 特養新設に係る福岡県の調査に対し、鞍手町は「100床の施設が必要」と回答(2018年10月12日付 西日本新聞) | |
5月 | 徳島真次町長(当時)自ら福岡県のヒアリング(意見聴取)に直接出向く「異例」の対応(2018年10月12日付 西日本新聞) | ||
10月 | 2回目の福岡県のヒアリング後、福岡県から鞍手町への問い合わせに対して町長印を押した文書で回答、福岡県は80床以上の施設を認めていなかったため、鞍手町は60床に修正(2018年10月12日付 西日本新聞) | ||
11月 | 徳島真次被告、直方市内の料亭で浦田宗徳被告(当時の社会福祉法人理事長)らから接待を受けた際に謝礼額を問われ、「1,000万円いいですか」と即答(2018年12月20日付 西日本新聞) | ||
2015年 | 2月 | 5日 | 社会福祉法人関係者らから1,000万円を受領(2018年10月17日付 西日本新聞) |
福岡県、鞍手町の特養新設が盛り込まれた整備計画を決定(2018年10月11日付・10月12日付 西日本新聞) | |||
時期不明 | 徳島真次被告、受領した1,000万円を福岡市内の銀行の貸金庫に保管(2018年11月1日付・12月20日付 西日本新聞) | ||
6月 | 30日 | 下水道事業の指名競争入札で最低制限価格を導入することを徳島真次氏が決定(2018年8月22日付 西日本新聞) | |
7月 |
(いずれも2018年7月10日付 産経新聞 福岡・鞍手町長を逮捕 入札情報漏らした疑いより) |
||
直方市の料亭で、浦田宗徳被告から徳島真次被告へ対し、下水道事業の指名競争入札の最低制限価格を教えてもらうよう依頼、落札価格の5%を対価として支払うと話す(2018年11月9日付 西日本新聞) | |||
料亭のやりとりの2日後のパーティにて、徳島真次被告が「14,850,000」と記したメモを浦田宗徳被告に手渡す(2018年11月9日付 西日本新聞) | |||
15日 | 最低制限価格の漏洩情報を受けた業者が1,488万円で工事落札 | ||
16日 | 漏洩先の業者から150万円を受領して仲介役と分け合う | ||
2017年 | 1月 | 22日 | 鞍手町長選挙が実施され、徳島真次氏が無投票再選(2018年10月17日付 西日本新聞) |
春ごろ | 社会福祉法人関係者ら2人を「くらて病院」理事に提案するも、病院側の反発で撤回(2018年10月17日付 西日本新聞) | ||
10月 | 20日 | 鞍手町議会調査特別委員会が徳島真次氏を追求 | |
11月 | 17日 | 鞍手町民有志が1,422人分の署名を添えた嘆願書提出 | |
12月 | 6日 | 鞍手町議会調査特別委員会が報告書提出 | |
19日 | 鞍手町議会が、くらて病院への人事介入を理由に辞職勧告決議(2018年10月17日付 西日本新聞) | ||
2018年 | 春ごろ | くらて病院の内科常勤医師が全員退職(2018年10月17日付 西日本新聞) | |
7月 | 9日 | 徳島真次容疑者1回目の逮捕、他に福本博文容疑者、池田啓幸容疑者を逮捕 | |
31日 |
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時期不明 | 福岡県警、徳島真次被告が貸金庫に保管していた1,000万円を全額押収(2018年11月1日付 西日本新聞) | ||
8月 | 21日 | 徳島真次容疑者2回目の起訴および3回目の逮捕、浦田宗徳容疑者・身吉雅隆容疑者を2回目の逮捕(2018年8月22日付 西日本新聞) | |
9月 | 9日 | 鞍手町長選挙が実施され、岡﨑邦博氏が初の当選 | |
11日 | 下水道設計業務を巡る官製談合事件について、徳島真次容疑者ら3人が加重収賄罪で追起訴 | ||
10月 | 10日 | 徳島真次容疑者4回目の逮捕(2018年10月17日付 西日本新聞) | |
29日 | 福本博文被告、池田啓幸被告ともに初公判で起訴事実を認める(2018年10月30日付 西日本新聞) | ||
31日 | 徳島真次容疑者4度目の起訴(2018年11月1日付 西日本新聞) | ||
11月 | 8日 | 徳島真次被告、初公判で起訴された4事件について起訴事実を認める(2018年11月9日付 西日本新聞) | |
27日 | 身吉雅隆被告の初公判が福岡地裁で行われ、起訴内容を認める(2018年11月28日付 西日本新聞) | ||
12月 | 19日 | 福岡地裁で行われた公判において、検察側の冒頭陳述で徳島真次被告が謝礼額を1,000万円と明示し、2期目の町長選挙の選挙資金にしようと考えていたと指摘(2018年12月20日付 西日本新聞) | |
2019年 | 1月 | 8日 | 福岡地裁が福本博文被告、池田啓幸被告両名に対して懲役1年(執行猶予3年)の判決を言い渡す(2019年1月9日付 西日本新聞) |
31日 | 福岡地裁が身吉雅隆被告に対して懲役2年(執行猶予3年)・追徴金375,000円の判決を言い渡す(2019年2月1日付 西日本新聞)
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徳島真次被告が公判の被告人質問において「町民や応援してくれた人に迷惑を掛け、本当にばかなことをした」と謝罪。また、神谷被告からの贈賄である150万円を徳島被告(750,000円)・浦田被告(375,000円)・身吉被告(375,000円)で分配した件について、「(身吉被告らから)謝礼で受け取ってもらわないと帰れない。と言われたので受け取った。言われなかったら、多分受け取らなかった」とも述べた。(2019年2月1日付 西日本新聞) |
関係人物
このセクションでは、敬称および「容疑者」「被告」などの名称は省略します。
徳島真次(德島眞次)
福岡県鞍手町の元町長(任期:2013年1月28日から2018年7月31日)であり、本事件の中心となる人物。
浦田宗徳
2013年という比較的早い時期に、国会議員の秘書を通じて徳島元町長と知り合った人物。
特養新設に関する取り計らいにおいては1,000万円の贈賄を徳島元町長に対して行い、下水道事業の指名競争入札の最低制限価格漏洩においては150万円を神谷真己人から受取り、750,000円を徳島元町長、375,000円を身吉に分配、自身も残りの375,000円を手にしています。
神谷真己人
福岡県北九州市の株式会社旭技研設計コンサルタント代表取締役(当時)。徳島・浦田・身吉の3名に対し、実施設計の最低制限価格を漏洩により知った見返りとして、150万円を渡しています。
また、株式会社旭技研設計コンサルタントは本事件により、福岡県から2018年8月21日~2019年8月20日の12ヶ月間の指名停止措置とされています。
身吉雅隆
事件当時は「会社役員」として報道されていますが、氏名で検索すると特定非営利活動法人の代表者である情報も出てきます。徳島元町長を繰り返し接待しており、その関係を知った神谷からの依頼を受けたことで下水道事業の指名競争入札の最低制限価格漏洩に繋がっています。
前述の通り、神谷からの150万円の謝礼のうち、375,000円を受け取っており、2019年1月31日に、福岡地裁において懲役2年(執行猶予3年)・追徴金375,000円の判決が出ています。
福本博文
鞍手町の空手道場「福本会館」の館長であり、1994年から2007年までは鞍手町議会議員としても活動していた人物です。事件当時は北九州市の日興コンサルタント株式会社の社員という肩書でした。
浦田・神谷・身吉の3名の事件とは別の入札で事前に最低制限価格を共有した疑いで逮捕され、日興コンサルタント株式会社は福岡県から2018年7月13日~2019年7月12日の12ヶ月間の指名停止措置とされています。
2019年1月8日に、福岡地裁において懲役1年(執行猶予3年)の判決が出ています。
池田啓幸
事件当時は北九州市の株式会社太平設計の役員という肩書でした。
浦田・神谷・身吉の3名の事件とは別の入札で事前に最低制限価格を共有した疑いで逮捕され、株式会社太平設計は福岡県から2018年7月13日~2019年7月12日の12ヶ月間の指名停止措置とされています。
2019年1月8日に、福岡地裁において懲役1年(執行猶予3年)の判決が出ています。
報道記事の内容
特養新設に関する報道
2018年10月12日付 西日本新聞によると、
鞍手町は14年2月、特養新設の認可権限がある県の調査に「100床の施設が必要」と回答。同5月には徳島容疑者が県の意見聴取に直接出向くなど「異例」(関係者)の対応をした。
10月の2回目の意見聴取後には、県からの問い合わせに対して町長の公印を押した文書で答えたという。
県は80床以上の施設を認めていなかったため、町は60床に修正し、15年2月に県が決定した整備計画に盛り込まれた。
とあります。
これは表の方でも書いていますが、2013年11月28日に社会福祉法人関係者(当時の理事長であった浦田宗徳被告)から有利な取り計らいの依頼を受けたことで、県の調査・意見聴取に対して徳島元町長自らが動いています。
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