他自治体にふるさと納税を行っていると、保育所指数(点数)が下げられる?

他自治体にふるさと納税を行っていると、保育所指数(点数)が下げられる?

記事内目次

  1. 2019年2月5日付で訂正Tweetあり
  2. 保育園の相談にて「ふるさと納税してたら点数下がります」?
  3. 「点数」とは、いわゆる「保育指数」のこと
  4. 指数は自治体ごとに設定されている
  5. 経済状況(所得等)はたいてい優先順位に反映されるけど、順位は低い
  6. 保育料の算定にはふるさと納税の寄付金控除は適用されないことは覚えておきましょう
  7. ふるさと納税で点数が下がるのはガイドライン違反?
  8. ふるさと納税で点数が下がるか、東京23区全てに問い合わせを行ってくれた方が登場
  9. 保育園入園・保育所入所の判定に用いる「所得」の定義があいまいな自治体が多い件
  10. 「ふるさと納税で点数が下がる」ということはほぼあり得ない
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2019年2月5日付で訂正Tweetあり

この記事は、2019年2月4日に大幅にリライトしました。構成を含めた全体的なリライトのため、個別部分の<del>要素や<ins>要素による訂正の明示は省略しています。

2019年2月5日に、元のTweetをされた方も訂正Tweetを行っています。保育園の相談にて「ふるさと納税してたら点数下がります」?以降の部分は、その訂正Tweetの前に書かれた内容であることにご注意ください。

ただし、@SUGItunaguさんの訂正Tweetは何故かiPhoneのメモ画面のスクリーンショットでテキスト化されていないので、以下に文字起こしをして引用します。

「ふるさと納税をしたからポイントが下がることはない」という回答は、保育園の相談にて「ふるさと納税してたら点数下がります」?で書いている@yukko_s17さんが確認された内容と合致します。

「同点の際に、課税所得が少ない=納税額が少ない方が有利になるが、ふるさと納税で下がった分はノーカウントになる。」という回答は、保育料の算定にはふるさと納税の寄付金控除は適用されないことは覚えておきましょう保育園入園・保育所入所の判定に用いる「所得」の定義があいまいな自治体が多い件で書いている内容と合致します。

「ふるさと納税をすると点数が下がります
と区の職員が言ったのは事実」という部分のみ真意が不明となっていますが、区職員が入所判定や保育料算定に用いる所得割額についての理解が不充分であったのでしょう。もちろん、理解が不充分だからといって誤った説明は許されるものではなく、しっかりと上司等に確認を行うべきであったと思います。

さて、ここ以降のセクションは2019年2月4日時点の情報で書かれた内容です。

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保育園の相談にて「ふるさと納税してたら点数下がります」?

「保育園の相談をしてきたんだけど”ふるさと納税してたら点数下がります”と言われた」というTweetが話題になっているのを見かけました。

保育園入園・保育所入所に関する運用ルールは自治体ごとに一定の裁量の幅があり、全国で完全に画一化されたものではありませんが、少なくとも東京23区においてはそのような減点を行う運用はされていないとのことです。

次のセクション以降で詳しく解説しますが、まずはこの@yukko_s17さんが実際にお電話で確認されたポイントを押さえてください。

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「点数」とは、いわゆる「保育指数」のこと

@SUGItunaguさんのTweetのリプライを辿ってみると、そもそも「点数」って何?みたいな反応がいくつかありました。

確かに、いわゆる「保活」を経験したことが無い方には「点数」と言われても何の点数やねん、と思われることでしょう。

東京新聞社が運営している「東京すくすく」の保活の点数「保育指数」自治体によってこんなに違う!「認可外利用」が加点されないケースもで分かりやすく解説されています。

保活の点数「保育指数」自治体によってこんなに違う!「認可外利用」が加点されないケースも

保育指数は、保護者の就労や健康、介護・看護などの状況によって決まる「基準指数」と、認可外保育施設の利用実績や、きょうだいや祖父母の状況などで決まる「調整指数」の合計点だ。

一般的には、保育指数の高い子どもから、希望を踏まえて利用園が決まる。指数が同じ家庭があった場合は、「住民である」「過去に入園辞退をしていない」などで優先順位をつけて判断する自治体が多い。

いくつか、Web上で確認できる指数表を紹介しますので、各自で確認してください。

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指数は自治体ごとに設定されている

では、「ふるさと納税で点数を下げるなんて独自ルール、国が黙っていないんじゃないの?」と思われるかもしれません。

ここでもう一度保活の点数「保育指数」自治体によってこんなに違う!「認可外利用」が加点されないケースもから引用します。

自治体によって規定がさまざまなのが調整指数。その上、毎年少しずつ変わっていく。例えば「認可外保育施設を利用している」ことを重視して加点する自治体もあれば、まったく考慮しない自治体も。同じ自治体でも、加点する項目が変わることもある。

調整指数(認可外保育施設の利用実績や、きょうだいや祖父母の状況など)は、自治体によってまちまちとなっています。

ここでは引用していませんが、「東京すくすく」の記事中には、東京都杉並区では認可外保育施設の利用を「点数稼ぎ」とみなして加点を行わないということも書かれています。

「保育は住民サービス」であるとして「住民かどうか、居住歴」を考慮する自治体が多いが、さいたま市や東京都北区は「転入予定者」と「以前からの住民」を同じ条件で選考している。同市保育課は「保育環境などを考えて、ここで子育てしたいと転入を検討する家庭も不利にならないようにしたい」と話している。

基準指数も自治体ごとで配点の差がありますが、調整指数は更に自治体ごとのカラーが出るようです。

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経済状況(所得等)はたいてい優先順位に反映されるけど、順位は低い

逆に、「ふるさと納税すれば課税所得が下がるのでむしろ入りやすくなる」というTweetも見られました。

平成25年(2013年)11月25日付という少し古い資料になりますが、内閣府の子ども・子育て会議(第8回)の資料として保育の必要性の認定についてというものがあり、その40ページから42ページに次のような記述があります。

【主なご意見】
  • 高額所得者よりも低所得者を優先すべき。
【対応方針(案)】
「優先利用」の対象として考えられる事項について例示をすると、以下の通り。

それぞれの事項については、適用される子ども・保護者、状況、体制等が異なることが想定されるため、運用面の詳細を含め、実施主体である市町村において、それぞれ検討・運用。

  • ⑨その他市町村が定める事由
    • ※このほか、選考の際に、各世帯の経済状況(所得等)を考慮することも考えられる

実務上がどうなっているのかまでは調べきれていませんが、この記述を読む限りは入所の選考の際に「経済状況を必ず考慮すべき」とも、「経済状況は考慮に入れてはならない」ともされておらず、自治体の判断に委ねられていると言えそうです。

実際に、先ほど引用した3つの自治体の指数表を見ると、3自治体とも「同一指数で並んだ場合」の優先順位に経済状況(所得等)が設定されていますが、その順位は最も低いものとなっています

この@yofukashibuddhaさんのTweetは、まさにその優先順位に当てはまっています。

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保育料の算定にはふるさと納税の寄付金控除は適用されないことは覚えておきましょう

ここで、もう一つ押さえていただきたいポイントがあります。

保育園入園・保育所入所判定の後のフェーズとして保育料の算定があり、経済状況(所得等)により保育料は算定されます。当然ながら所得が低ければ保育料は安く、所得が高ければ保育料は高くなります。

再び内閣府の資料となりますが、平成26年(2014年)8月・9月に「子ども・子育て支援新制度 認定こども園向け全国説明会」が開催された際の資料の中に自治体向けFAQというものがあり、13ページに

「利用者負担の所得階層の区分を決定するにあたっては、市町村民税額の所得割額を基に行う」とありますが、現行、保育所の保育料は、税額控除(配当控除、外国税額控除、住宅借入金特別控除、寄付金控除等)を適用しない取り扱いとしています。新制度においては、これらの税額控除額をどのように扱うのでしょうか。

税額控除(調整控除を除く)は、人的控除と異なり所得能力を直接反映するものではないことを踏まえ、利用者負担額の算定上反映させないこととします。

とあります。

すなわち、寄付金控除(ふるさと納税の控除はこれに含まれます)や住宅借入金特別控除(通称「住宅ローン控除」)は、市町村民税額の減額には寄与しますが、保育料の算定基礎となる所得割額には反映されないということです。

そのため、少なくとも「ふるさと納税を行って保育料の算定額を下げる」というテクニックはない、とは断言できます。

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ふるさと納税で点数が下がるのはガイドライン違反?

@SUGItunaguさんのTweetに対し、病児保育サービスを行うNPO法人の代表でもあり、保育士でもある駒崎 弘樹氏は、これはデマですよね?国のガイドラインにそんなことは書いていないのでと、はっきりとデマではないかと指摘しています。

駒崎氏は@SUGItunaguさんとコンタクトを取り、どの区であるかを確認した上で週明けに問い合わせをするそうです。また同Tweet内では明らかに不当なルールなので、本当であれば大問題ですし、また職員の誤りだとしても是正が必要ですとも述べています。

また、@valuefpさんは、本当なら責任者も区長もクビにするレベルの大不祥事と述べています。

逆に、@7se7en11さんは、反対するのも理解できますし、周知義務はあるとは思いますが、「明らかに不当」とおっしゃるからには分かりやすく説明してほしいですと、不当である根拠を求めています。

私も駒崎氏のTweetを見て改めてガイドラインが無いか検索してみたのですが、ざっと検索しただけでは先ほど経済状況(所得等)はたいてい優先順位に反映されるけど、順位は低いで引用した保育の必要性の認定についてに辿り着いただけで、明確なものを見つけられませんでした。

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ふるさと納税で点数が下がるか、東京23区全てに問い合わせを行ってくれた方が登場

冒頭でもTweetを紹介していますが、@yukko_s17さんが2019年2月4日付で東京23区全てに問い合わせを行っています。

@yukko_s17さんは23区全てに電話しましたが、そのようなことはないということでしたと書いており、また

元ツイートの人も、きっと区役所の方に言われて信じたんだと思いますと、@SUGItunaguさんが発端となるTweetを行うに至った経緯を推測しています。

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保育園入園・保育所入所の判定に用いる「所得」の定義があいまいな自治体が多い件

長くなってきましたが、ここまでの要点で2つおさらいです。

  • 保育指数の基準表では、「同一指数で並んだ場合」の優先順位に経済状況(所得等)も考慮されているが、その優先度はたいてい最も低い
  • 保育料の算定は、市町村民税額の所得割額を基に行うが、(調整控除以外の)税額控除は算定に反映されない

ここまでに書いてきた内容では、「じゃあ保育園入園・保育所入所の判定にふるさと納税(寄付金控除)は含まれるの?含まれないの?」という判断が難しいと思います。

「点数」とは、いわゆる「保育指数」のことで示した3自治体の基準表から該当箇所を抜き出してみます。

東京都豊島区 – 保育所入所基準指数表
保育料算定区民税所得割額の少ない順
大阪府大阪市 – 保育利用調整基準(平成30年度用)
経済的状況(合計所得金額(基準日が1月~8月の場合は前々年、9月~12月の場合は前年の合計所得金額)の低い世帯を優先する)
福岡県福岡市 – 保育施設等利用調整基準表(平成30年4月1日利用調整分から)
世帯の経済的状況等(世帯の合計所得金額等により判断)

大阪市や福岡市の表現では、「所得金額(等)」と書いてあってやはり判断が難しいですが、豊島区の表現に注目してみましょう。

保育料算定区民税所得割額の少ない順」と明記してあります。おさらいでも書いた通り、所得割額では調整控除以外の税額控除(=ふるさと納税や住宅ローン控除)は算定に反映されません

東京23区全ての基準表を調べてはいませんが、@yukko_s17さんが23区各区に確認した結果を踏まえると、おそらくどの区においても保育料算定だけでなく、入園・入所判定にも所得割額を用いていると推測できます。

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「ふるさと納税で点数が下がる」ということはほぼあり得ない

ということで、結論としては

  • ふるさと納税で保育所入所のための指数(保育指数)が下がるかどうかは、東京23区では明確に否定されている
  • 東京23区以外で、入園・入所判定の所得状況に所得割額ではなく税額控除後の所得額を用いている所があったとしても、ふるさと納税の有無が関係する項目の優先順位はかなり低く、入園・入所判定に影響を与えるとは考え辛い

と言えると思います。

2つ目で「税額控除後の所得額を用いている所があったとしても」と書いているのは、

というTweetがあり、既に都内の自治体は入園申請の際に役所内でふるさと納税の過去の履歴を調べて入園ポイントを調整してますと述べているものがあるからです。

ただし、このTweet以降も具体的な自治体名やポイントの細かい部分の提示はされていません。

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